みそぎ浜に吹く風

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母の入院~2019年を振り返り~

 

 時代が平成から令和へと変わろうとする少し前、平成31年4月14日の夕方、母の様子が突然変わった。熱を測ると39度以上あったため、ホームヘルパーさんと相談し、すぐに地元の病院に入院することになった。

 私は毎朝、氏神様の佐女川神社にお参りしてからお見舞いへと通った。母の容態は容易に回復せず心配が募った。孤独感を伴う看護の日々の始まりであった。 

 

 そして入院してから一か月と少しが過ぎた五月二十一日、母は函館の病院へと転院となった。それから今度は函館へと通った。この時も、病院から遠くない神社に毎朝参拝した。私は長男から、毎日お見舞いに行って何時間も何をしているのかと問われ、そばにいることに意味を感じていると答えた。

 

 しかし、母が入院してから2か月近くたったころ、私自身の体力や精神に限界を来たし始めてきた。不安が絶えず、気も塞ぎがちになった。そこで日課としていたお見舞いを二日間休むと少し体力が戻ってきた。それからはお見舞いを一日おきとした。やがて母の病室もナースステーションから離れ、私の気持ちも少しづつ楽になっていった。

 

 そんな8月1日、私は長男と温泉施設から花火大会を見た。夕方の砂浜に面するテラスはことのほか風が強く、提灯が揺れていた。赤く膨らんだ灯りは、まるで私の心のようだった。

 思えば、入院していて母の容態が危なくなった時、私が絶望感に陥っていた時、看護師さんの励ましによって救われた。転院の日の朝などは看護師さんが10人くらいで見送ってくださり感謝に堪えない。私の心細さに現実に寄り添ってくれた方がいたことをうれしく思う。

 

 そして今、令和二年を迎えられ母の状態が安定しているのが何よりである。そういえば先日、三年程前に買ったサボテンの花にピンクの花が咲いた。今年は良い年になりそうだ。何か新しいことでもはじめてみよう。